クククク・・・クラヴィスのヤツ・・・・
今日は散々な一日であった。
全く何故ああも、あの者は私の行く先々に先回りしては寝ているのだ!
昨日のせいで、あやつを見つけても叱る事も出来ないではないか!
この光の守護聖が何故こそこそと隠れるように逃げねばならぬのだ・・・。
しかし、起こすときは、その・・・あのような恥ずかしい起こし方をせねばならぬし・・・。かと言ってこのまま放置していい物でもない。
しかし・・・光の守護聖たるもの約束を違えるなど出来よう筈もない。
それにしても、何故あやつは中庭で寝ていたと思えば、宮殿の廊下で寝ているのだ。神出鬼没もいいところだ!まるで私の行く先々で待ち伏せをしては、狸寝入りをしているのではないか?
は!もしや、これがあの者の計略なのでは?
売り言葉に買い言葉で、私があのようなことを言うのは容易に知れよう・・・、
それならば、私はまんまと嵌められたのだな・・・。
ああ、やはり短慮であった。
もう少し冷静にならねば。
しかし、アレを前にするとどうしても冷静になることが出来ぬ。
親しくなれば、少しは変化は望めるのだろうか・・・そう願いたいものだ。
| 2000年12月13日(水) 明日には明日の風が吹く |
・・・・後悔。
後で悔いるから後悔か・・・そうであろうな。
行く先々にクラヴィスがいて、ほとほと疲れきった私は、クラヴィスが研究院に向かったのを見計らって、逃げるように森の湖に行ったのだ。
しばらく湖面を見つめながらぼんやりしていると、後ろに人の気配を感じた。
振り向くと果たしてクラヴィスがソコにいた。
何故こうも目ざといのか。
しかし、よくよく見るとまたもや眠っているではないか!私がいるのを知っていて態と寝たふりをしているに決まっている。
どうせ、私には出来ぬと分かっているのだ。
だが、あの時はなんだか、疲れていたし、その上なんだか無償に見返してやりたいような、そんな気持ちが湧き上がってきて・・・きて・・・・・・してしまったのだ。
ああ、なんてことを。もうクラヴィスの顔など見れぬ。
私の計画などもう、絶対に遂行できるはずもないだろう・・・。
しかし、あの時のクラヴィスの顔ときたら・・・(笑)
ふふふ。アレはアレで見ものであったな。
まあ、明日のことは明日考えることにしよう。
クラヴィスだってそうそう誰にも言えぬ筈だしな。
| 2000年12月14日(木) とにかく執務に励まねばならぬ |
今日は隣が気になり、執務が全く捗らなかった。
挙句の果てには、オスカーに無理やり定時帰宅を言い渡されてしまったのだ。
渋々私邸に帰り着くと、今日一日私の気持ちを乱れさせていた元凶が、我が物顔に部屋の中で寛いでいた。
道理で執事の様子がおかしいと思ったのだ。
しかし、昨日の今日なのでどうしてもクラヴィスの顔を直視できない。何を言って良いやら分からず黙っていると、珍しくクラヴィスの方から口火を切ったのだ。
昨日のアレは誰に教えられたのか、と。
何を言い出すのかと、しばし呆然としていると、しつこく訊いてくる。
全く何だと言うのだ。誰でも良かろう。
呆れてクラヴィスを眺めていたのだが、何だか苛立っているように見えた(まあ、いつも通り無表情だがな)。
しつこいので、オスカーに訊いたと言ったのだが・・・・・・・・・・・・怖かった。
とにかく、何故あのように私が責められねばならぬのか、今でも良く分からないのだが、酷く悪いことをしてしまったらしい。
私の制止の声も聞こえぬ風にそのまま出て行ってしまった。
何だったのだ?
やはり、私が悪かったのか?
明日謝ったほうが良いのであろうか?
オスカーが何やら関係しているようなので、あの者に相談してみても良いが・・・。
しかし、クラヴィスとは、果たしてあのような性格であったのだろうか?
もっと、何事にも動じない性格だと思っていたのだが・・・。
明日は今日の分も執務に励まねばならぬ。
とりあえず、この件は今日はもう考えぬようにしよう。
| 2000年12月15日(金) こんな人間だったのか・・・ |
朝から何だか嫌な予感はしていたのだ。
そういうモノほど良く当たるもので、執務室に入った途端眩暈がした。
・・・・・・・何で私の執務室にクラヴィスがいるのだ!
オスカーの来る10分ほどは無言で睨み合いが続いていた。
昨晩何やら怒らせてしまったらしいので、昼食を共にしながらそれとなく謝ろうと思っていたのに・・・なんだと言うのだ。
オスカーも一旦入ってきたが、すぐに扉を閉めてしまい、しばらく逡巡した後また入室してきた。
それはそうであろう。私だとて、一瞬執務室を間違えたかと思ったのだから。
それからが本当に大変であった。
私とオスカーが何と言っても、頑として執務室から出て行こうとはしないのだ。
仕方なくクラヴィスをそのままに、執務を始めたのだが・・・・じと〜っとした視線が絡みつく。気にすまいと思うのだが、どうにも落ち着かない。
オスカーもそうであるようで、何だかそわそわして落ち着かない様子だった。
だが、まだ、まだ、ここまでは我慢が出来たのだ、ここまでは。
しかし、次第に集中しだした私達に、何を思ったか、クラヴィスが私と机の間に無理やり割り込み、視界を塞いでしまったのだ。まったく!年端もない子供のするような行動に、オスカーも言葉がないようだった。私だとてそうだ。
信じられないが、クラヴィスとはこういう人間だったのだ。
親しくなるなどと、途方もなく馬鹿げたことなのではないか?
私は無駄な努力を重ねているのではないか?
とにかく、今日も一日執務がまったくできず、私邸に持ちこんでやる羽目になってしまった。明日は休日返上になりそうだ。
だが、オスカーも手伝ってくれるとの事。今日も先ほどまでこの部屋で二人でやっていたのだ。
帰るには遅いので、客室を用意させたのだが、もう眠ったのであろうか?
なんにせよ、クラヴィスのせいで、大変であったということだ。
私に平穏な日常を返して欲しい・・・。
朝目覚めると、目の前にオスカーがいた。些か近すぎるように感じたが、とりあえず、寝坊したのかと思うほうが先で、何だか訳のわからぬうちに飛び起きてしまった。
その後しきりに謝るオスカーに、実はまだ日も昇りきらぬ時間だと分かった。
何故そのような時間にオスカーが寝室にいたのか、疑問だったのだがとても恐縮している様子なので、不問に処したのだ。
お互いにいま少し眠ると言うことで、納得したのだが、中々部屋を出て行こうとはしない。何か話でもあるのかと水を向けると、いい難いそうな素振りをみせながら、話したのだ。
クラヴィスと何があったのか?
もしかして、実際にアレをしたのか?
と。
正直、寝室がまだ暗いうちで助かった。
耳が熱くなって、多分頬も赤くなっていただろうと思う。
少しは分かったかも知れぬがな。
何故そのようなことを答えねばならぬ、と切り返すと一瞬射すくめられたような気がした。・・・暗くてよく分からなかったが。
それにしても、クラヴィスだけかと思えば、オスカーまでもおかしい。
最近聖地では何か良くない病でも流行っているのか?
私も気づかぬうちにおかしくなっているのかも知れぬ。
そうだ!そうに決まっている!そうでなければ、何故クラヴィスにあのような事をしてしまったのだ!説明ができないではないか。
明日にでも研究院で調査させねばならぬな。
女王陛下にも進言せねばならぬか・・・ああ、ただでさえ執務が滞っているというのに。
もうやることが多すぎて何が何やら分からぬ。